リメイク

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 31.2011 映画&ドラマよもやま話
cor1.jpg


「太陽がいっぱい」の話から、昨日は上原謙の話になってしまったが、もう一度「太陽がいっぱい」の話に戻そう。

映画のリメイクは盛んに行われるが、名作のリメイクほど成功しない。
時代を超えて鑑賞される映画というのは、イメージがあまりに強烈で、現代の俳優に置き換えられてもしっくりこない。

「風と共に去りぬ」や「ローマの休日」のリメイクをしようとしても、誰が主役をはれるのであろう?
ヴィヴィアン・リーのスカーレット役に勝る人、オードリー・ペップバーンの王女役に勝る人、そんな人はなかなか出て来ない。
比べられて「前の方がいいよね」と言われるのがオチだ。
そう言われたリメイク版がどれほど過去にあったことか。

「太陽がいっぱい」はフランス映画だが、ハリウッド版の「太陽がいっぱい」が作られた。
原題「The Talented Mr. Ripley」(邦題:リプリー」)

ハリウッドは何を考えているんだろう?と思った。あの名作のリメイクを、軽々しいアメリカ映画にしてしまうのか。
しかも、アラン・ドロンがやったリプリー役が、マット・デイモンときた。
ええええっっっっっっ!!!! 絶句であった。

マット・デイモンはいい俳優だと思う。むしろ好きである。彼の映画なら観てしまう。
だけど、旬の人気俳優だからといって、アラン・ドロンの代わりはないだろう。
私の中のリプリー役、いや、世界中の人に植え付けられているあの卑しいハンサムなリプリー役を壊そうとしてくれるのか。

マット・デイモンはハッキリ言ってブ男系である。スタイルもよくない。動きも別に美しくない。
彼がカッコ良く見えるのは、演技が器用だからである。
ハンサムな大根役者なら(上原謙?)、ブサイク系で上手い方がずっといい(私の好みですが)。
が!しかし!!!。。。。ジミー大西にも似ているマットが、リプリーですか。。。。。それは。。。
この役だけは、やめてくりー。

私がアラン・ドロンのリプリー役が好きな点は、「ものすごいハンサムなのに卑しい」というところである。
金持ちの親友なんかが及ばないほど、とても二枚目なのに、彼には足りない物が沢山ある。
美男に生まれて来ても、人を妬むほど苦しむ。
そして彼が美しいほどに、彼の狂気が悲しくも怖いのである。
そこがこの映画の魅力でないのか。

だけど、ブ男な上に家柄もよくない主人公が金持ちでハンサムな友人を妬んだとしたら、「妬んで当たり前」の話になってしまうでないか。
「足りないものだらけ」になってしまうでないか。
美と狂気のコントラストがポイントの映画なのに。。。。

。。。。と思っていたので、マット版の「リプリー」は公開されてから5年ほど観ていなかった。
夫が「面白かったよ」と言っていたけれど、夫はオリジナルの「太陽がいっぱい」を観ていない。
けっ!フランス映画なんて観ないアメリカ人め。ハリウッド的な焼き直しに満足しちゃって。
。。。。と、ちょっと(いや、かなり)バカにしていた。
そしてオリジナルのDVDを取り寄せて(なんと、アホなアメリカのDVD屋には、あの名作が置いてなかった。信じられん!)夫に見せた。
彼いわく、「これはこれで面白いけれど、マット・デイモンの方はそれはそれで面白かったよ」
まだゆずらない気だな。

そこで私も食わず嫌いはよくないと思い、「リプリー」を観ることにした。

全く最初から期待していなかったので、でかい態度でソファに座っていたのだったが、なんとなんと、話にどんどん引き込まれ。。。。っていうか、ストーリーは分かっているのにドキドキと盛り上がるのである。
上手い! 
なんと私はいとも簡単に、ハリウッド版「リプリー」を評価してしまったのだった。

マット・デイモンが上手い。やっぱり上手い。
「ハンサムじゃないとこの役は意味がない」と思い込んでいた私を、考え直させてくれた。
ハンサムじゃないリプリーでもいいのである。
マットは劣等感と嫉妬に翻弄される難しい役を、持ち前の細かい演技でみごとに表現していた。
とてもとても繊細に。

そして、オリジナルの方では省かれていたリプリーの親友への同性愛的な気持ちも、マットはさりげなく演じていて原作にずっと忠実なのであった。

すっかり感心してしまったマット版リプリー。
あんな名作のリメイクなんだから、やる側も相当オリジナリティを出そうとしたんだと思うが、アラン・ドロンの「二枚目ぶり」に対抗しようとしなくて正解だったと思う。
ここで甘いマスクの二枚目ちゃんが演じても比較されるだけなので、ブ男系のマットを選んだ。大正解!
もう全然違う映画。比較のしようがない。

こういう成功例もあるのである。少ないけれど。
私はマットに、座布団10枚進呈したのであった。


スポンサーサイト
 HOME