ロングバケーション

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 02.2017 映画&ドラマよもやま話
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今更、なのではあるが、キムタクの恋愛名作ドラマ(?)と言われている「ロングバケーション」(1996)を観たのである。21年も前のドラマだ。当時は恋愛ドラマなどに興味もなく、ビデオ屋に行けばロンバケの写真が目にも入ったけれど借りる気も起こらなかった。
なぜだろう?
私だけではないと思うが、自分の恋愛で忙しい人間は、自分の恋愛ドラマの中で常に生きているから、他人の恋愛、ましてやドラマや映画の中の作り物の恋愛になんぞ興味を持てないのだ。だって、現実の恋愛は、ドラマや映画よりもずっと面白く、もっとハラハラドキドキで、ドラマティックなのを知っているから。そういう人間にとっては、ドラマはいつも、本物を下回る。

ずっと前に年下の男性と付き合っていた時、彼に「なんか僕たちちょっと、「ロングバケーション」みたいだね」と言われたことがある。
ああ、あのドラマの?観たことないから知らないわ。。。
彼がそれを観たのは、そもそも中学生の頃だったらしいのだが、きっと中学生にとっては恋愛ドラマはまだまだ未来のことで、かっこいいお兄さんお姉さんがハラハラさせる恋愛は面白かったに違いない。
私たちのどこが「ロングバケーションみたい」なのか、私にはよくわからなかったが、年上の女性と年下の男性の恋愛ドラマだから、きっと年齢のことを言っているのだろう、とぐらいに思っていた。

ドラマを観はじめたら、まず、21年前の東京がそこに存在していて、それなりにとても古くて、なんだか懐かしい気持ちになって楽しんでしまった(笑)。
キムタク演じる瀬名が住むマンションの風景。新大橋は浜町公園から伸びる橋で、隅田川の向こうに瀬名のマンションがある。浜町公園は私が赤ん坊の頃からお散歩に行っていた場所だし、なんだかそういう「東京」を見れるだけで今は幸せな気分になる。六本木や渋谷がロケ地でなく、新大橋ときましたか。いいですね。このドラマの後、隅田川の向こう側は急激に風景が変わったので、90年代の貴重な映像。

このドラマ、女性が年上で、男性が6、7歳年下で、その年の差を超えた恋愛ができるかどうかで二人とも腹がなかなか決まらないのだけれど、たった6〜7歳の差でガタガタ言ってんじゃないよ、と私は思う。
そうなのだ。こういう恋愛ドラマを観ないタイプの女性って、この年齢差の軽く2倍くらいの恋愛は実生活で経験したりしているから、「やっぱりドラマは現実には敵わないよ」って思っちゃうのだ。私に限らず、きっと。
ただ、21年も経ってからこういうドラマを観ると、自分の過去の恋愛を色々と思い出させてくれたりもして、とても懐かしく優しい気持ちにもなれる。
生きること自体にまだまだもがいていたあの年齢の頃。きっと、「輝く」っていうのはもがいている時代をいうのではないか。若さゆえのもがきをしなくてよくなった時、人は確実にある輝きを失う。その「輝き」は次世代へバトンタッチしていくものなのだ。そうでなければ、この世の中美しくない。

山口智子扮する南という女性はカメラマンの卵。瀬名はピアニストの卵。
恋愛のシチュエーションが全然違ったから最後くらいまでその「偶然」に気づかなかったが、私はフォトグラファーで、ピアニストの年下の男性と付き合っていたことがあった。
だけど、ドラマの方が全然「壁」の数が少ないんだよね。現実の我々の恋愛は、年齢の差ももっと大きかったし(でも気にならなかった)、もっといろんな「壁」がありましたよ。壁があるから楽しかったし。
そこにおいても、「やっぱり現実の方がドラマよりもドラマティックだよ。。。。」と思ってしまった。
ところで、そのピアニストは「僕たちってロングバケーションみたいだね」と言った人とは違う。「ロンバケ」を教えてくれた彼との恋愛は、年齢の差くらいしか「ロンバケ」との共通点はなかったなあ。

私のように、当時自分の恋愛に忙しくて恋愛ドラマなど観るヒマなかった人たちは、時間ができた時に、自分の若かりし頃に流行っていた恋愛ドラマを騙されたと思って観るといいのかもしれない。
きっと、「あー、自分はドラマよりももっと楽しくてドラマティックな恋愛をしてたんだなあ」と懐かしくも誇らしくも思えるだろうし、若さゆえに輝いていた頃を愛おしくも思えて、今だったらその恋愛ドラマも違った目で見れるはず。年齢に関係なくずーっと恋愛をしている人たちだって、若い輝きを持っているのは人生の中でも一瞬。それは誰しもが、必ず年齢とともに失っていく。その失ってしまった、もがいているがゆえに輝いているキラキラを、主人公のキムタクの鋭くキラキラしている瞳を見て、ハッと思い出すと思う。年齢に関係なく素敵な恋愛はできるけれど、あの当時のキムタクの瞳の輝きは、自分の過去の恋愛のキラキラを思い出させてくれて、キュンとする。きっとそういう気持ちは、21年前に観てたならば得られなかった気持ち。余裕がなくて、まっすぐで、キラキラ光っていて、怖いくらいに輝いている瞳。崖っぷちに立たされている、戦いに挑む者の目。何も持っていなくて、自信がなくて、自信を持つために足掻く者の若い視線。苦しい時にしか持てない若さゆえの美を、余裕のない鋭い眼差しを、きっと思い出すと思う。

「ロンバケ放映の月曜の夜はOLが街からいなくなる」と言われていたそうだ。。。。 だが、いつの時代も、ドラマよりも現実の恋愛の方がずっと面白いしためになるよ、ってことは若い世代に声を大にして言いたい。ドラマの中のキムタクを観るよりも、自分の好きな人と会っている方がずっと楽しい、って思っていた女性たち、ロンバケの存在すらも知らなかった女性たち、ドラマにではなく、現実の目の前の恋で笑ったり泣いていたりで大忙しだった女性たち。
騙されたと思って「ロンバケ」観たら、きっとキムタクの細い肢体やツルツルお肌やはにかんだ笑顔に、昔の自分の恋愛相手を思い出して、微笑むこと多数あるんじゃないかな。

ピアニストになる瀬名が、「誰かのためにピアノを弾いたことがない」と言っていた。彼が「誰かのために弾いた」時の音は、壁を取っ払うことができた時だった。
私も、ピアニストの彼氏から彼のピアノの楽曲CDをプレゼントされたことがある。私の好きなカバー曲がたくさん詰まっていたのだが、その中に一つだけ知らない曲があって、その曲が一番美しく、一番心に響いた。それは彼が私のために作ってくれた曲だった。
「ロンバケ」の中で「誕生日」が出てくるシーンがある。
私が「ロンバケ」の最終回を観た日は、偶然にもそのピアニストの彼の誕生日だったことを思い出した。かつて彼の誕生日に一緒に過ごした楽しい時間を思い出したら、ドラマの中の瀬名くんのピアノ演奏が、彼のピアノの音に変わって聞こえた。

しかし、21年前ってあんなに「古かった」んだな。
携帯を持っていない時代の恋愛って、なんだかもう、すれ違って当然だよ!とさえ思ってしまう(大笑)。



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最近のメニューは、黒米のズッキーニ&ピーナッツ炒飯ほうれん草、ラディッキオ、チャイブの花サラダルーベンサンドイッチブラックビーン&シアントロのライムライスティラピアのマンゴーソースフルーツ入りタピオカクレープ赤キヌアの夏野菜サラダなどなど。



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