ムッシュ大根

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 30.2011 映画&ドラマよもやま話
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前回のブログで「加山雄三」なんてなにげに書いたら、大変なことを思い出してしまった。

加山雄三の映画はほとんど観たことが無い。
有名な若大将シリーズ(つい、青大将と言ってしまう)は知らない。

知っているのは、黒澤映画の「赤ひげ」と「姿三四郎」の中の、若かりし加山雄三。
これだけしか知らないのであるが、これで十分なのではと思ってしまう。
「加山雄三は大した役者じゃない」とおばあちゃんたちが言っていたのを聞いたことがあるが、「赤ひげ」の加山雄三は結構いい演技をしているのだ。

「加山雄三のお父さんがとても二枚目役者でね」というのも、おばあちゃん世代がよく話していたこと。
お父さんが二枚目で、大スターだったものだから、息子は大したことない。。。と思われてしまう。よくある「ジュニア」のさだめ。

その「お父さん」である上原謙。
彼の映画、何作かだけ観たことがある。

成瀬巳喜男監督の、名作といわれる「めし」。
名作なんだが、とてもいいお話なんだが、上原謙の演技が下手でそればかりに目が行ってしまった覚えがある。
監督成瀬巳喜男と主演の原節子の組み合わせは最高なのに、なんで上原謙がここにいるんだろう?と。
しかし、「めし」で驚いている場合ではなかった。

次に観たのは、山本富士子主演の「夜の河」。
山本富士子が素晴らしくきれいで、撮影当時20歳そこそこだというのにしっとりとした確かな演技をするのである。圧倒なのである。
この映画(ビデオ)を観たときに、私もそのくらいの年だったのだが、とても同じ年齢には思えなかった。
そして撮影は宮川一郎。もう完璧なのである。。。。。上原謙がいなければ。

なぜ、なぜ? 山本富士子のお相手が上原謙?? 
この映画の中の彼は、これまた素晴らしく大根役者ぶりを発揮してくれているのだ。
これは見るに耐えられなくて、彼が出て来るたびに私は心の中でブーイングをしていた。

私も若かったせいもあるが、なんであんな冴えない中年に恋をするのかも分からなかった。
大学教授という役柄が悪いわけではないのだ。中年はいいのである。
上原謙という大根役者が役柄を全てダメにしていて、「山本富士子がもったいない!」なんて思わせてしまうのだ。こんな人になんで惚れるんだろう??
もうホントに、こんなに下手な役者は見たことない、と思わせるほどひどかった。

それがトラウマで、上原謙というと拒否反応を起こし、彼の出演作は観る気が失せてしまっている。
腹が立つほど演技が下手で、映画の途中からストーリーを追うどころか出て来るたびに落ち込ませてくれる役者というのは、あまりいるものではない。

随分後になってから、「この人大根だったんだねえ」なんておばあちゃんは暢気なことを言っていた。
最初から分からなかったのーっ??
「二枚目」という看板は、いつの時代も演技力云々ではなく時代をリードするものだけど。


あれから大分月日が経ったので、私の見る目も変わっただろうか。
年齢と共に少しは人間を受け入れる許容範囲が広がって、ムッシュ大根・上原も気にならないほど私も大人になったかなあ(だといいなあ)。

もう一度、いつか「夜の河」を観てみたい。ちょっとこわいが。
そこでまた、「うっわー。下手くそ! 大根引っ込め!」なんて思ってしまったら、私の受け入れる心は成長していない、ということである。
ムッシュを受け入れられるくらい、大きな心を持つ人間。
さふいふヒトに、ワタシはなりたい。
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