古き時代のイタリアン

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 29.2011 アメリカの味/外食
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シカゴのリトルイタリーは、何ヶ所かあちこちに点在している。今はどれもが小規模だ。
それだけかつてはイタリア移民が集まって暮らしていたことを表しており、また時代と共に彼らがばらけてしまったことも示している。

近くにあるかつてのリトルイタリーは、今や中国人の方が多く住んでいる。
その中にぽつんぽつんと立つイタリアの国旗。イタリア系の雑貨屋、バー。

住宅街となったその一画に、何世代も続くイタリア系ファミリーが経営しているデリがある。

生ハムやチーズを売るカウンター。
自家製のパルメザンチーズやピクルス、乾燥パスタなどを売る食品棚。

そんな店の中に、ところ狭しとテーブルが並んでいる。
ここは小さな「レストラン」でもある。


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デリのウィンドーの上に、アランチーノが銀色のお盆の上に載っている。
アランチーノとは南イタリアのお惣菜。中にお米、チーズ、肉などが入っていて、それに衣をつけて揚げたもの。

イタリアを初めて3ヶ月間旅していたとき。
北イタリアでは出会わなかった食べ物に、ナポリに着いた途端に沢山出会ってビックリしたものだ。
その一つが、ナポリではどこのお惣菜屋にも並ぶ、このイタリア式ライスボールであった。
三角錐の形をしているもの、丸い物、形はそれぞれ。
この店のアランチーノは、アメリカ的に一回り大きくなって野球ボール大である。

アランチーノはお惣菜屋にある食べ物で、レストランで出すような物ではない。
だから、数あるシカゴのイタリアンレストランで、これがメニューに載っているところはまずない。

ところがこのデリ&レストランでは食べられる。
たっぷりのトマトソースをかけていただくアランチーノも美味。

南イタリアの旅の間は、よくこのアランチーノを食事代わりにしたものだ。
一つ食べると、かなりお腹が膨れてパンパンになる。
貧乏旅行者には嬉しい食べ物。しかも、お米というのが嬉しい。

アランチーノを食べると、ナポリやパレルモの南部らしい喧噪や、海からの潮の匂いを思い出す。


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中身はこんな感じ。

びっしりと、お米とチーズ(たっぷり)と肉。
それを揚げているのだから、お腹が膨れないわけない。

これをアペタイザーになんかで食べると、メインは入らないよなー、ってことは分かっていても、やっぱり食べてしまうアランチーノ。

そしてやっぱり、お腹がいっぱいになってしまった。


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メインで頼んだパスタ。
生ハムとキノコとグリーンピースのクリームソース。

美味しい! 美味しいのだが、アランチーノが胃にたまっていて。。。。
すごいボリュームのパスタを食べきれるはずもなく、半分はお持ち帰り。

この店は圧倒的に地元(近所の人)たちが大半だ。昔からの顔なじみ、何世代にも渡る近所付き合い。
そんな地域の絆が残っている、シカゴでも珍しい店。

客と店の人との挨拶だけでなく、客同士が皆知り合いで、お互いに挨拶し合って小さなテーブルにつく。
テーブル同士はくっついているので、隣の人たちからも話しかけられる。
隣の4人組の女性グループには「ワイン飲まない?」とお誘いをかけられた。
かなりワインで上機嫌になっていた彼ら。
賑やかな会話がこだまする店内。


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パスタを食べきれない程お腹いっぱいのはずなのに、やっぱりデザートは頼んでしまう。

この店の自家製ティラミスは、これまたとってもホームメイド的なのだ。

スポンジの代わりに、レディフィンガーというビスケットを使う。
このビスケットをたっぷりエスプレッソに浸すのだ。

なぜこのビスケットを家庭では使うのか?というのは、やっぱりスポンジを焼く手間を省けるからだと思う。
このビスケット自体がスポンジケーキのようなものなので、理にかなっている。
そしてレディフィンガーというビスケットは、とても安価で大量に袋に入って売られているものなので、どこの家庭にも予備があるのだ。

このビスケットは本当に軽くて美味しくて、適度に甘くて、これまたイタリアの旅の間のお供だった。
長い列車の移動の時など駅で買い、おやつ代わりに食べていたものだ。パクパクパクパクと入ってしまう。
アメリカではどこでも見かけるものではないが、これを見るとヨーロッパを感じる。

このレディフィンガーで作られたティラミスはもちろん美味しかった。
アットホームムード満点。

古い時代からスタイルを全く変えないイタリアンの店。
こういう店はシカゴでも貴重である。




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