イタリアンコーヒー

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 16.2010 カフェタイム
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「アメリカでは美味しいコーヒーが飲めない」と長年言われて来たが、泥水のような(友人のイタリア人の表現=色がただ黒い水という意味で)不味いアメリカンコーヒーが主流だった時代でも、「美味しい」コーヒーはあったのである。

例えばNY(NYはアメリカじゃないと言われるけれど、立派にアメリカである)や、ボストンや、フィラデルフィアや、シカゴなどの、イタリア系移民が多い街。
「リトルイタリー」と呼ばれるイタリア人街が存在する街。
そこでは、昔っから、美味しいイタリアンコーヒーが飲めた。

茹ですぎたうどんのようなパスタなんて食べられないように、イタリア系移民がマクドナルドやダンキンドーナツの「泥水」コーヒーで我慢出来るはずないのである。
リトルイタリーの食料品店には、世間が「不味い」アメリカンコーヒーを飲んでいた時代から、ちゃんとイタリアのコーヒー豆は販売していたし、リトルイタリーのレストランやカフェでは昔から業務用エスプレッソマシーンがあったし、本格的なエスプレッソやカプチーノが飲めた。

「アメリカのコーヒーは不味い」と言われていた時代でも、「ええー、ちゃんと場所を選べば、日本より美味しいコーヒーが飲めるじゃん」と思っていたのである。
日本には「珈琲店」があっても、まだ「カフェ」という物が無かった時代。
マンダリンだのキリマンジャロだのブラジルだのというメニューはあっても、カプチーノとかマッキアートだとかのコーヒーが飲めなかった時代の話。
そんな時代に、既にNYでは、店内がエスプレッソの香に包まれた店が既にいくつもあった。

学生時代、私はシカゴのリトルイタリーのアパートに住んでいた。
家主もイタリアンだし、近所ではお年寄りがイタリア語で会話するような界隈。
食料品店には豊富な輸入パスタやお惣菜が並び、生ハムが天井からぶら下がっている。

私がそこで出会ったのは、illyというコーヒーと、LAVAZZAというブランド。
illyの方が高級で、LAVAZZAは結構安かった。
いずれにせよ、アメリカのスーパーで売っているような豆とは比較にならないような香ばしさである。
アメリカの豆と言ったら、チョコレートフレーバーだとかバニラフレーバーだとか、中には紅茶フレーバーなんてのもあって、一体何を飲んでいるのか全く分からなくなるような味だったりする。
そしてアメリカ人は、そういうのをすごく好む。
なんでコーヒーという香があるのに、わざわざチョコレートだとかバニラのプンプンした匂いをつけないといけないんだろう?
訳の分からないアメリカ人嗜好のコーヒーから逃れるために、行き着いたillyとLAVAZZAなのである。

それからしばらくして、イタリアを旅するようになった。
最初のイタリアの旅は、たっぷり3ヶ月かけて、北から南はシチリアまで1人で周った。
建築、絵画、料理、遺跡。。。全ての事に感銘を受けたが、そのうちの一つがコーヒーの美味しさであった。

毎日BARでカプチーノを飲む事から朝は始まる。
旅する者は歩き回るので、なにしろこのBARというカフェに近い店が、とてもいい休憩場所なのだ。
1日に最低3回は入る。
イタリア列島でそれを3ヶ月続けたのである。
それだけでも、私のコーヒーに対する味覚は肥えてしまい、イタリアを去った後はしばらくイタリアのコーヒーの味が忘れられなくて寂しかった。

イタリアではillyにもLAVAZZAにも出会ったけれど、当然地域ごとにそれぞれローカルなコーヒー会社が存在して、どこの豆でも美味しいのであった。
豆も大切なんだけれど、バリスタの入れ方が上手いんだろうなあ(あと、雰囲気も)。。と感じた。
イタリアのBARは朝6時頃から開く。
他の店がまだ閉まっている頃、BARだけは開いている。
移動でその街を早朝去る時など、いつも「最後の一杯」を飲んでお別れするのであった。

イタリア人男性は、仕事前に朝BARに寄って、さっと一杯エスプレッソをぐっと飲んで出かける。
混み合う時間帯は、次から次にカップ&ソーサーの触れ合う音が響き渡る。
アメリカでも朝St**bucksに寄ってから行く通勤人が多いが、手に持っているテイクアウトの紙コップの大きなこと。
エスプレッソをぐいっと店でやっていく光景とは、なんと違う事か。

そうそう、世界中に展開しているSt**bucksだが、本格派コーヒー文化の国イタリアには上陸していない。
最後にイタリアに行ったのはもう5年前だが、イタリアに住む友人に聞いたら、2010年現在でもまだ無いらしい(やった!!)

イタリア人がSt**bucksなど必要とするわけもないし、あのコーヒーを美味しいと思う訳もない。
だが、ヨーロッパでも柔軟な国は、新しい物も取り入れたりしている。
例えば、オーストリアのウィーンだって偉大なカフェ文化があるのであるが、St**buksもあった。
数はうんと少ないけれど、学生街などでは地元の学生たちで賑わっていた(当然、ウィーンの伝統的なカフェの方が格は上であるが、若者というのは若い文化を堪能したいのであろう)。

それに比べて頑固なイタリア!! こういうイタリアを私は愛す。
文化や伝統を守るというのは、容易なことではない。
頑すぎるくらいの姿勢を保たなければ、大切な物は守れないという事を、長い歴史から知っている証拠でもあろう。
アメリカ物を拒否するのは、なにもフランスだけではないのだ。

前述したillyとLAVAZZAのコーヒーは、シカゴでは色んなカフェで飲める。
LAVAZZAはカフェも展開していて、シカゴ市内だけでも結構店舗がある。
店内もヨーロピアンで、イタリア人の観光客が寄る事も多い。

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