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マフィア(?)がくれたサンドイッチ

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 02.2012 エスニックタウン
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前回のリトル・イタリー物語の続き。



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ここは1940年代後半創業のイタリアンデリ。
壁にかかっている50~60年代の写真を見ると、野菜やチーズを売る光景はイタリアそのもの。
デリ内にテーブルを置いて、イタリアンサブを食べられるような空間を作っているところは、とてもアメリカ的であり近代的である。
アメリカ人は、立ったままコーヒー飲んだり、サンドイッチ食べたりするのがあんまり好きじゃないのよね。




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コーヒー豆は、イタリアはトリエステのillyのもの。
奥のスイーツはカノーリ
イタリアのカノーリはクリームの中に砂糖漬けのフルーツが入っていることが多いのだが、アメリカのはチョコレートチップが入っていることが多い。

映画「ゴッドファーザー3」のクライマックスで、ドン・アルトベッロはオペラ鑑賞をしながらこのカノーリで毒殺されるシーンがあることは、以前のブログにて書いた。

「ゴッドファーザー」(1)でも、カノーリは会話の中で印象的な使い方をされている。
一族の裏切り者(おそらくマイケルの従兄弟)の銃殺を命令されたピーター・クレメンザは、その「仕事」に出かける朝、妻に「カノーリを忘れないでね!」と頼まれる。
ポーリーを車中に置いて、クレメンザは立ちションをしに外に出る。その間に他の仲間がポーリーを銃殺。
何食わぬ顔で戻ったクレメンザはその仲間に、「銃は置いてけ。カノーリは持って行け」と言う。
車内からカノーリの入った白い箱を取り出すクレメンザ。

親族の殺人という、マフィアではない一般人からはかけ離れたような出来事の脇に、家族との普通の日常をカノーリというお菓子に代表させて描いてある。
カノーリというのはとても庶民的な、イタリアの日常を代表するようなお菓子だ。
この描写で、強面のマフィアの表面からは見えてこない家族性(あとで家族と一緒にカノーリを食べるのだろう)が見えて来る。




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イタリアの「サンドイッチ」と言えば、アメリカでは「イタリアンサブ」と呼ばれるこれ。
この日の中身は、カピオコーラ(アメリカでは、カッポコーロと呼ばれる)とプロヴォローネチーズ。

イタリアンサブといえば、忘れられない思い出がある。
リトル・イタリーに住んでいた頃、毎日通る小さな通りに、とある建物があった。
車2台が入るくらいの大きさの1階建ての建物だが、レンガだけで窓がない。そして重厚な鉄の扉がある。
一見「住宅の裏側」といった感じなので、別に気にもとめていなかったが、毎日その重厚なドアの横に、イタリア系のおじさんが3人くらい、椅子を外に出して座っている。
イタリア人のおじさんは、よく日なたぼっこに家の外にこうやって座り、イタリア語で会話している。のどかな光景だ。

毎日毎日こんな光景だったが、その日は違った。
帰り道、いつも「開かずのドア」だった扉が開いて、中から安岡力也を濃くしたような50歳くらいのおじさんが出て来た。
そして通りを歩いている私に向かって、「サンドイッチ食べる?」

へ???

いきなり見知らぬ人に「サンドイッチ食べる?」と声をかけられて、イエスとかノーとか即答できる人はいないだろう。
子供の頃から、「知らないおじさんに「チョコレートあげるよ」と言われても、ついていってはいけません」と厳しく教えられた私は、返答に窮する。

しかし私の返事を待たずに安岡力也は、「ちょっと待ってて」とまた扉を開けて中に入って行った。

その時私は見た。
いつもは開かない、そのグレー色の鉄の扉の中を。



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気にもとめていなかった建物だが、こういう光景を誰が想像できるだろう。
窓も無い扉の中はこじんまりしたレストランのようになっていて、テーブルがいくつもある。
そしてイタリアおじさん、そう、男性だけが集まって、なんか食べたり話したりゲームしたり(?)しているのだ。
テーブル席の奥にはキッチンのようなものがある。

ここってレストラン????
看板もなにもない。
そんな雰囲気は外から全く想像できない。どう見ても車庫とか倉庫にしか見えない。
ところが中は社交場なのだ。

しばらくすると扉がまた開いて、安岡力也が出て来た。
「これ、美味しいよ」と言って私にくれたのは、長~い紙の包み。
「サンドイッチ」と聞いて、つい四角いパンのサンドイッチを想像していた私だったが、「そうだ、イタリアンサブだ」と思い出したのだった。

そのイタリアンサブは、18インチ(40cm)はある長さで、ルームメイトと分けて食べた。
上記に載せた写真の具の、大げさではなく6~7倍の肉(サラミや生ハム)と大量のイタリアンチーズが入っていた。めちゃくちゃ美味しかった。




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あれから時々映画などで、リトルイタリーのマフィアの要人たちが話し合いをする場として描かれるレストランのバックルームなんかを見かけると、「ああ、これこれ」と思い出す。
「メンバーズオンリー」とも記されていない、真の秘密の場。
薄暗い室内で、意外と質素なテーブルと椅子が置いてあり、しかし食べ物だけはちゃんと作れるキッチンがある。

あの鉄の扉の中も、そういう場所なのだなあ、と思うと、なんだかワクワクドキドキだ。
暗黒のマフィアの時代は終わったのだが、完全に彼らが消えてしまったわけではないことは確かなわけで。
表通りの老舗のレストランなんかだって、それこそ裏で牛耳るマフィアの匂いがプンプンだ。
リトル・イタリーの中でも、決して、デリのまるっこい主人みたいな人たちには無縁の場所。

また安岡力也に会ったら、サンドイッチのお礼を言おうと思っていたのだが、あれ以来彼に会うことはなかった。
いつものようにイタリア系のおじさんたちは椅子に座っているのだが、私と目があっても「サンドイッチ食べる?」などと聞いてこない。
あの力也おじさんは一体何者だったのだろう??


あの怪しい扉の建物は果たしてまだあるのだろうか?と思ったら、すぐに分かった。
当時とそっくりそのままの形で残っている。
なんですぐに分かったかというと、一人ではあったが、またおじさんが外に椅子を出して座っていたのだ。
コックリコックリと寝入っていたが、私に気づくとすぐ起きた。
おじさんがいなければ写真に撮ってこようと思ったが、無理でした。

いつもここにいるおじさんたちは、いわゆる見張り番なのだ。
関係者以外が扉を開けないように。

うちの近所の一等地の一画に、イタリアンレストランとデリが並んでオープンしたのだが、レストランの方は準備されたまま3年ほど閉まったままだった。貼り紙には「Coming soon」とありながら。
色々噂があった。オープンする予定だったオーナーがマフィア絡みで殺されて、オーナーが変わって新装開店したとか。
いろいろありますよねえ。。。




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新しいブログ「New York ノスタルジア」もどうぞよろしく。



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