Silver Linings Playbook

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 21.2013 映画&ドラマよもやま話
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日本でも今公開されているという「Silver Linings Playbook」(邦題:「世界で一つのプレイブック」)。
随分前に観たのであるが、オスカーで話題になっていたので記しておこう。

こういう映画は軽いが好きだ。鑑賞し終わった後に、「うん、いい話だ」と思える映画。単純に楽しめる。
日常の、複雑でもなんでもない話をいい映画にするには優れた脚本が必要だ。台詞が効いていないと死んでしまう。この映画は成功している。

映画の冒頭で、父親役のロバート・デ・ニーロが訪ねてきた友人に、ドアを開けるなりフットボールの話をし始める。
彼は地元チームフィラデルフィア・イーグルスの大ファンらしく、先日の対ダラス戦での、注目集めるルーキーDeSean Jacksonの失態がいかにアホらしいか、怒りまくっている。
デショーン・ジャクソンはルーキーイヤーに、彼にとってプロ最初の華やかしきタッチダウンとなるはずの腫れの舞台で、あまりに興奮してか、それともあらかじめタッチダウンのときには大いにパフォーマンスをしようと計画していたからか、エンドゾーン寸前でボールを離して自分だけゾーンに入り、ダンスし始めた。もちろん、ゾーン手前でボールを手放したことは本人は気づいておらず。
美しきレシーブのあとのこの大失態。才能ある選手の名誉ある(?)スタート。このシーンは今後も間違いなく語り継がれるだろう名(迷)シーンだ。

この試合は、2008年の9月(ということで、映画の設定もこの年だということが分かる)。私も夫と一緒にこの試合を観ていただけに、ロバート・デ・ニーロ父の怒りに笑えるやら。そして彼がいかに一生をイーグルスにかけているか、生活の中心がフットボールであるかが伺える。
タイトルからも分かる通り、ストーリーの軸はフットボールがベースである。

趣味や感覚の違う、こういうお父さんを持つとちょっと辛いよな。。。といった感じの、双極性障害の息子役はブラッドリー・クーパー
彼はぱっとした映画に出ておらず、そんなに巧い俳優だとも思っていなかった。どちらかというと、ゴールデンラズベリー賞を受賞しちゃうくらいの下手な俳優。だけどこの映画で、「へえー、こんな演技もできるんだ」と感心。これでオスカーの主演男優賞にノミネートされるのであるが、さすがにダニエル・デイ・ルイスをやっつけることは無理でしょう。もう最初から分かっているといった感じ。それよか、ダニエル・デイ・ルイスと共に(同じ年に)ノミネートされたこと自体が誇りなんじゃないか。

同時にビックリしたのが、ジェニファー・ローレンスの主演女優賞ノミネート及び受賞だ。
ジェニファーは可愛いし巧い。だけど、受賞に値するほどの演技だったか?と言えば、大いに???だ。映画の中のキャラクターは、素のジェニファーと寸分変わらず。そのままのジェニファーだし、驚きもなにもない。
男優陣が今年はダニエル・デイ・ルイス、ヒュー・ジャックマン、ホワキン・フェニックス。。と粒ぞろいだったのに対し(この3人には同時受賞させてあげたかった)、女優陣が揃っていなかった、ってことでジェニファーはちょっとラッキーだったかもね。才能ある女優だと思うので、今後の活躍が楽しみ。

彼女とブラッドリー・クーパーがダンススタジオでダンスの練習をするシーン。
ボブ・ディランとジョニー・キャッシュの「Girl From The North Country」がかかる。
実家の父のCDコレクションからもらって来た"The Essential Johnny Cash"に収録されていて、よく聴いていた。ジョニー・キャッシュは私の幼少時代の原音楽。父の影響で。
夫は映画でこの曲を耳にするなり、「ジョニー・キャッシュだよね?これ。一緒に歌ってるのだれ??」
低音のジョニーはすぐ分かったらしいが、まさかボブ・ディランとはね、とビックリ。音楽好きの夫でも知らなかったようで。ボブ・ディラン作詞作曲。1969年にナッシュビルで録音された名デュエット。

この映画、作品賞にもノミネートされた。
だけれどノミネートの中では、一番期待が低いだろうな、と思った。他の作品に比べると。もう一度観たい映画か?と言われると、そういう映画ではない。
ちなみにデ・ニーロが息子にベッドルームで話すシーン。自然に溢れる涙はアドリブだとか。脚本にはない。
デ・ニーロの受賞は久しくないので、今年取るんじゃないか?とまことしやかに言われていたが、オスカー史上初めての三度目の主演男優賞受賞はイギリス俳優、デイ・ルイスへ行った。
老年デ・ニーロ、まだ枯れておらず。子供の頃、私の理想の男性像だったデ・ニーロだけに、今後まだまだ期待。



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