今年のオスカーあれこれ

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 25.2015 映画よもやま話
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日曜日はオスカー(アカデミー賞)だった。
今年の作品賞は、予想通りにバードマン。(←感想は以前ブログに書きました)。
久々に笑い転げて感動した映画なので、文句無し。作品賞だけでなく、監督賞も取ったし。
去年の今頃ブログに書いた、グランドブダペストホテルも健闘した。

「バードマン」の監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥも受賞スピーチでも言っていたけれども、ずば抜けて素晴らしい作品や職人の技術を、いくつか並べて「どっちが勝ち」というのもおかしな話。比べられないくらいに優れた作品が並ぶ場合があるのだし。
だけどオスカーの見どころは、勝ち負けではなくて受賞者のこういったスピーチを聞けること。

一番感動した受賞スピーチは、イミテーションゲームの脚本賞で受賞したグラハム・ムーア。若干33歳の若手ライター(もっと若く見えて、20代かと思った!)。
隠しきれない嬉しさを体全体で表していたのもよかったけれど、スピーチ後半で自分の16歳の時の自殺未遂のことを語ったときには心が震えた。
“because I felt weird, and I felt different, and I felt that I did not belong. And now I’m standing here, and I would like this moment to be for that kid out there who feels she’s weird or she’s different or she doesn’t fit in anywhere. Yes, you do. Stay weird. Stay different, and then when it’s your turn, and you’re standing on this stage, please pass the message to the next person that comes along.”
彼の魂から叫ぶ、熱い熱いメッセージだった(もらい泣き)。
こんなに素晴らしい脚本家だからこそ、アラン・チューリングという複雑な人を理解して、「イミテーションゲーム」という素晴らしい映画になったのだな、と。
役者や作曲家が色をつけるずっとずっと前に、映画の最初の一歩はライターたちによる一文字から始まるのだと改めて思った。

あと嬉しい受賞は、主演男優賞のイギリス人俳優エディ・レッドメイン。
スティーブン・ホーキング博士を演じるという、とても難しい役どころに挑戦して見事受賞。
彼は「レ・ミゼラブル」でも目立って上手かったけれど、「My Week with Marilyn」で「いい役者だなあ」と注目していたのだった。
それから短期間であっという間にオスカー俳優。最近イギリス俳優に押され気味のハリウッド(だって彼ら上手いんだからしょうがないけど)。

それからもう一人、名前を挙げておかないといけないのは、助演女優賞のパトリシア・アークエット。
受賞した映画の「Boyhood」(邦題:「6歳のボクが、大人になるまで」)は12年に渡って撮影し続けたというクレイジーな映画。日本で言えば「北の国から」みたいな。
このパトリシア、実は数年前にテレビシリーズの「Boardwalk Empire」で久しぶりに観て、ビックリしたのだ。
人は誰でも歳を取り、見かけも変わっていくものだけれど、俳優というのはテレビやスクリーンで体や顔を晒し出している分、ひっさびさに現れると「あっれー!! こんなおじさん(おばさん)になっちゃったのー? いつの間にー!!」みたいなことがよくある。
数年前、パトリシアを見てそう思ったのだ。20代の頃から決して細身ではなく(どちらかというとポッチャリ)だったけれど、ここまで肩やお腹や腰に貫禄のお肉がついて、中年女丸出しになったとは、と思った。
顔のシワも隠していないのだけど、それってハリウッド女優の中では稀に見る「整形なし」という証明なのかもしれない。ありのまま。
そんな彼女を見て、「おばさんになって残念ねー」という言葉は出て来なかった。逆なのだ。潔い。すごい。頭下がる。
若い頃から、単なる綺麗どこのかわい子ちゃんじゃないと思っていたけれど、人間って生き方がそのまま現れる。表面的な美しさなんて追求する代わりに、この方は心も(体も)逞しくなっておられました(スピーチもパワフルだったし)。
彼女の20代の頃の映画に「トゥルー・ロマンス」なんていう、ロマンスにしては血みどろの映画があったけど、「普通のかわい子ちゃんじゃない女の子」ぶりがよく出ている。
そんな女の子も、受賞スピーチで老眼鏡を堂々とかける(これがまた貫禄)女っぷりになったのである。
パトリシアの活躍、これからやってくる気配。貫禄のあるおばさん役やらせたら、彼女の右に出る者いないかもしれない、今。
ちなみに彼女のお姉さんのロザンナは、ロックバンド「TOTO」の歌の「ロザンナ」のモデルで有名。姉の方も単なる綺麗どこじゃなくて、独特の生き方している。ハリウッドでは異質な姉妹俳優。

それからもう一つ、名誉賞受賞の宮崎駿監督。
「私の家内が、お前は幸運だとよく言います。一つは、紙と鉛筆とフィルムの最後の時代の50年に、私がつきあえたことだと思います。」っていうスピーチもすごくよかった。
本当に心からそう思う。

レディ・ガガの「サウンド・オブ・ミュージック」50周記念のトリビュートも素晴らしかったし、今でも美しき79歳(!)ジュリー・アンドリュースの登場にも拍手。
ジュリー・アンドリュースってまだバリバリ現役で舞台をプロデュースしたりしている。自然に美しく歳をとり、今でも健康的でまだ可愛らしいってすごいこと。

ホストのニール・パトリック・ハリスも上出来の司会ぶり。
彼は随分前に自分が同性愛者であることをカミングアウトしているのだけれど、ゲイとわかっている人物をオスカーの司会者に抜擢することも10年前ではあり得なかっただろうな。
今年の授賞式、人種、性別、セクシャリティ他いろいろの平等を唱えたメッセージが多かったけれど、それを象徴するようなホストでもあった。
アカデミー賞観ているだけでも世の中の動き、歴史の変動が伺える。
だから面白いのかも、オスカーって。




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