「愛のむきだし」

Posted by ジャンヌ(Mami Takayama) on 19.2016 映画&ドラマよもやま話
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「冷たい熱帯魚」を観て、さらに園子温監督の映画を観たくなり、これを選んだ。しかし4時間近くある作品なので、なかなか手につかず。映画館ではインターミッションを挟んで公開されたらしいが、私もインターミッション挟んで、2日に分けて鑑賞終えた。

宗教を軸に描かれている恋愛(純愛)物語。
カトリック、カルト的な新興宗教、パンチラ盗撮、近親相姦、神父の肉欲、倒錯、ねじれた親子、愛情関係。。。。いろんなものが題材として組み込まれているので、切り口が多い。
これだけ切り口が多いのに散漫とならず、上手くまとめている点が凄い。

私自身、カトリックの家庭に育ったので、一般日本人がよく言う「宗教ってなんかピンとこないんだよね」という感覚よりは宗教は理解できる。
また、カルト新興宗教団体が雨後の筍のように育ち、日本社会を席巻していった様を見ながら育ったので、その団体に犠牲になった被害者、あるいは救われた人も含め、身近にはそのような人たちがいたものだ。「あっちの世界」へ行って帰ってこなかった人たち。。。安藤サクラ演ずるコイケほどキョーレツな悪魔はそこら辺歩いていたら怖いが、洗脳された取り巻き連中みたいな顔はかつて日本社会によくいたなあ、と思った。渋谷駅、駅の構内。。。。洗脳された彼らの表情は非常に病的なのだが、気にしないで無視すれば関係のない人たちだ。だが東京というのは時空を超えてすれ違う人も多い大都会で、かつて一緒に遊んだことのある幼馴染や同級生をその空虚な表情をした若者たちの中に見つけてしまうこともままあった。「向こうの世界」に行ってしまった彼らは、私のことに気づくこともなく、手相を見せてくれだとか「祈らせてください」だとか寄ってくる。昔、生き生きとした表情をしていた「普通の」子供だった彼らが、何をきっかけにこの世界に入ってしまうのか。毎日同じ場所に立つ彼らの前を、毎日同じような時間に通りながら、考えさせられたものだ。。。だが、答えはなかなか出なかった。

結構重いテーマが流れている話なのに(実話を基にしたというのは驚きだ)、そうならないのはキャストの素晴らしさのおかげ。
何を隠そう。私はこの映画で初めて知った西島隆弘くん(ユウ役)に恋をした(笑)
この出来事の方が大きいので、映画の内容よりも西島くんの魅力を語りたい。
壊れて神父になり、神父になっても壊れた父を持ち、罪作りのために盗撮を繰り返すという高校生役。こんなに屈折しているのに、こんなに爽やかで、観客を引き付けてしまうのは、西島くんが持っている清潔感のおかげ。
アクションシーンは、最初スタントがやっているのかと思った。それだけプロの動きでキレが良く、あまりに綺麗だったから。ところが西島君本人がやっていることを知りさらにビックリ。彼はダンサーなのですね(今更ながらのファンなので、申し訳ありません)。そして笑顔の可愛さ!アイドルだとかダンサーだとか、若いのに彼が今までやってきたキャリアが、十分この作品で生かされている。女装してこんなに綺麗な人もいないでしょ。
盗撮をしてキモくならない人、スケベにならない人、病的にならない人。。。西島君を起用したのは大正解だし、こんな人(西島君)がいたなんて奇跡です。
清潔感というのはなんなんだろう。先日観た「ジョゼと虎と魚たち」妻夫木聡にも感じる、清潔感。
これは持って生まれたものとしか言いようがない。ない人が身につけようとしたら、それはより不潔なものになる。
清潔感を持っている人だって、実際はスケベだし、悪いこともするし、ずるいし、罪を抱えているのである。悪人なのかもしれない。なのに、清潔感がある。これはものすごく得なことですね。まず、悪い印象を与えない。

西島くんの魅力ばっかり言っていると辟易されそうなので、ヨーコ役の満島ひかりについても。
ひかりちゃんは上手いですよね。初めて彼女を観たのは、奇しくも妻夫木くんと共演の「悪人」だった。「悪人」でもそうだったけれど、彼女はすっごく可愛いのに、すっごく憎たらしい役をするのが上手い。「悪人」の時は、「こいつ本気でぶっ殺してやろうか?」って妻夫木くんの代わりに思ったもん(笑) それだけ観客に同情させない憎たらしさを演じる可愛い子って、なかなかいないです。

園子温監督の作品は、脇役もどれも魅力でインパクトがある(ありすぎ)。
そんなおかげで、4時間の映画も飽きずに観れる(これってすごいこと)。4時間ダレさせない、って快挙。

一つだけ、茶々を入れたい。
ユウが育つカトリックの家庭の描写について。
夫が妻を亡くした後に勉強して神父になる、ということはあり得る。だがしかし、実の息子がいるのに神父になることは考えられない。しかも、その高校生の息子を一緒に神父の宿舎に居住させて一緒に暮らす、息子はそこから高校に通う。。。。なんてことは絶対にありえません。そんな例が日本のカトリック教会であったら、大問題ですね。
その点が現実味を帯びなかったのと、今の時代にあんなカトリックファミリー存在するのか?ってことも少々。家族で教会に通っても、家庭内であんなにマリア様崇拝するお母さんとか、息子にマリア像を植え付ける教育とか。。。。カトリックファミリーで育った人たちはよく知っていますが(教会の繋がりはあるので)そんなこと聞いたこともない。きっとそういう家庭はあるのかもしれないが、一般的ではない。
この点だけが、なんだかハリウッド映画で珍妙な芸者描写を見たときの「今でもこんなイメージなんだあ。。。」っていうような歯がゆさを覚えました。
でも、所詮、映画ですから。超、西洋人の願望が入った芸者がわんさか出てくる「SAYURI」をかなり楽しめちゃったのと同じように、この映画も楽しめるし、なんて言ったって西島くんの魅力が最大に詰まっているので(笑)とてもいい作品です。


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最近のメニューはアスパラ入りグリルドチーズなど。



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